コンクリート防食、汚泥からのリン回収、下水道管のメンテナンスを得意としています。
コンクリート施設の塩害対策に従事、塩害対策指針を作成
この業務では、細骨材に含まれる塩分や、海塩粒子による塩害の調査を行い、その対策として表面保護法を提案し実施しました。 この調査を基として塩害対策指針を作成しました。下水道界で、塩害による被害が大きく減ったと思います。
下水道管路下の道路陥没原因を調査
下水道路下の道路陥没が発生したことをうけ、下水を連続圧送し、その中の有機酸、硫酸濃度、硫化水素濃度等を連続24時間調査してみました。その結果、圧送管出口でのコンクリート管の激しい劣化が主たる原因であることを発見しました。
この調査を基に多くの圧送管調査を実施し、その危険性を公表、下水道法の改正を進め、5年に1回の点検が義務化されました。社会インフラをできるだけ長く利用するための社会貢献を実感した、思い出深い業務でもあります。
瀬戸内海でのリンの総量規制に伴う総量削減の実験
下水中に含まれるリン濃度は高く、その除去にはコストパフォーマンスが悪いため、リンの再利用が模索さていました。そこで、再利用路抽出のため、液体肥料やリン結晶肥料、汚泥発酵回収法などの実験を行ないました。
その結果、リンの再利用の重要性が理解され、その後の実用化に貢献することができたと思っています。新しい専門分野が出来ました。
リン肥料実用化の研究
早稲田大学リンアトラス研究所で、4年間招聘研究員として関係業界、プラントメーカー、国の各種研究所等との連携で実用化のための研究に従事する機会を得たことがあります。
この研究の結果、国土交通省、農林水産省、経済産業省、環境省でもその重要性を認識され、事業の促進に目処を立てることができたので安堵したことが記憶に残っています。
大学でインフラメンテナンス関係講座を
大阪産業大学大学院工学研究科で修復工学の講座を担当し、建設工学の分野に新しいビジネスの展開をセミナー方式で8年間講義したことがあります。次世代を担う学生たちの新しい職業として、「修復工学」の必要性を理解してもらえることは大変嬉しかったです。
下水道用コンクリート防食工法の開発
下水道施設のコンクリート腐食は、硫化水素や、有機酸、オゾン、高濃度炭酸ガスなどの激しい劣化を伴います。それらを防止するための材料開発や抑制制御方法の開発を行いましたが、この開発結果を基に、国交省、農水省、日本下水道事業団の指針作成とJIS化を行うに至った業務でもあります。次のステップとして、世界標準に持っていきたいと思います。
管路更生工法の土圧解明研究
こちらも大阪市立大学、大阪市との共同研究で、既設管に作用する土圧の解明のための実験を繰り返していました。この実験で得られた式を地盤工学会で発表し、設計指針をまとめるに至った土圧解明研究でした。
既設管に作用する土圧の解明は世界で初めてでしたので、経済設計に貢献できたのではないかと思います。
技術士を取得したことで独立した考えを主張できるようになり、考えを論文として発表できるようになりました。そして数年後、工学博士を取得することができました。
また、技術士会に入会して、他分野技術士の方々と意見を交わすことで多面的な見方ができるようにもなりましたね。後に技術士試験の試験官も務めましたが、このことは、試験官として問題作成や採点、面接を行う際の助けになったと感じています。